エステサロンのための経営講座
エステサロンの収支計画
エステサロンを個人で経営しているかたとお話をすると、経費や利益といった数字についておおまかにしか把握していないとおっしゃることが多いように思われます。しかしそれでは利益を十分大きくすることはできません。収支の計画をしっかりたてて、利益を拡大できるように考えていきましょう。この記事では、現実的な売上と経費の数字から、どのように利益を出していくのかについて考えていきましょう。 > お気に入りに登録する
売上よりも「利益」を考えましょう
エステサロンを経営すると言ってもその規模はさまざま。自宅でベッド1台で開業されるサロンもあれば、大きなお店を借りて複数台のベッドを入れて経営しているサロンもあります。
小さなサロンではまだ十分な利益が出ていない、というところがありますが、経営者にうかがうと、売上のことは考えているけれど、経費のことはおおまかに考えてしまっている、というお店があります。ご自身の給与を経費に入れていないというお店も少なくないようです。
とても基本的なことですが、
● 利益 = 売上 - 経費
です。売上と経費の関係を考えて利益をきちんと出せるようにしていきましょう。
経費をコントロールすることで利益は拡大
1件のサロンの売上と経費について、試算してみましょう。
例えば8坪(16畳)でベッド2台のサロンを、経営者とスタッフ1名で運営しているとしましょう。
ベッド1台で1日4人を施術するとすれば、1日8人になります。週休2日として、月に22日営業するなら176人となりますが、毎日満員とはいきませんから、その75%、132人来店すると仮定しましょう。
平均の客単価が7,000円だとすれば、月の売上は92万4千円となります。
● 月の施術売上 = 月顧客数132人 × 単価7,000円 = 924,000円
経費は何人お客様が来ても来なくても変わらない「固定費」と、多くお客様が来ると増える「変動費」に分けられます。
固定費
- 家賃
- 100,000円
- 人件費(スタッフ1名)
- 250,000円
- 合計
- 350,000円
変動費
- 水道光熱費
- 30,000円
- 材料費
- 100,000円
- 広告宣伝費
- 30,000円
- 合計
- 160,000円
● 経費合計 = 固定費350,000円 + 変動費160,000円 = 510,000円
と計算できます。ここでは東京都で実際にあるサロン物件の家賃を目安にしています。広告宣伝費が3万円というのは少なく感じるかたもあるかもしれません。ホットペッパービューティーやチラシ配布を行う金額ではありませんね。お誕生日カードやダイレクトメールの発送などの費用と考えてください。
さて、この数字で計算すると、利益は
● 月の利益 = 売上924,000円 - 経費510,000円 = 414,000円
と計算できます。
でも、これでは何か足りませんね。何が間違っているでしょう?
そう、経営者の人件費を経費に入れていないのです。仮に経営者のお給料を月額400,000円とすれば、本当はこのお店には14,000円しか利益が出ていないことになります。
個人経営のサロンでは「経費を引いて残った分が自分のお給料」と考えているかたが多いのですが、これでは本当に儲かる経営にはなりません。
「利益」を増やすには?
新規集客の数ではなく、お一人おひとりにじっくり深く向き合うことを選択した「ザ・フェース」は、リピーターがどんどん増えていきました。
それでは、先ほどの式を改めて見てみましょう。
● 利益 = 売上 - 経費
● 売上 = 客数 × 単価
でした。
この式から利益を伸ばすためには2つの作戦しかないことが分かります。
1) 経費を削減するか
2) 売上を高めるか
ですね。経費をこれ以上切り詰めるのが難しいとなれば売上を高めることになります。売上を高めるにはどうすると良いでしょう? 売上は「客数×単価」ですから、
2-1) 客数を増やすか
2-2) 単価を高めるか
のどちらかということになります。
客数を増やす点については、毎日の施術数を6人から8人に増やすといった施策が考えられますが、この集客のための費用がかかることもあるでしょう。価格を下げて対応するとなれば結局は単価が下がって、客数は増えたけれど売上があまり伸びずにスタッフにも経営者にも疲れが増えるということになるかもしれません。
そこで、単価を上げることはできないかと考えます。単価を上げるためには、高額のコースを追加してお客様を上位のコースに誘導するか、物販を行うという施策が考えられます。
仮に現在132人訪れているお客様の20%、26人が利益5,000円になる化粧品を購入してくれれば単価は高まり、26人×5,000円=132,000円の利益を上乗せすることができることになります。
エステサロンの経営を安定させ、利益を拡大するためには、安定した利益を上乗せできる物販を取り入れることが良い方法といえます。
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