エステサロンのための経営講座
カルテ管理のレベルアップで
サロン経営を改善
サロンの経営で意外に後回しになっているのがカルテを活かしたお客様管理です。ただの紙束のようになっているサロンも少なくありません。これをしっかり活用することで、まずお店としてのコンサルティング力が高まります。そのことがリピーター率を高め、しばらく休眠していたお客様を呼び戻す力にもなってきますから、カルテ管理を今日から見直したいところです。 > お気に入りに登録する
困ったときにはカルテに答えが書かれています!
カルテのことをどうしよう、と考えて調べていくと、便利なアプリがあるとか、電子カルテがおすすめ、といった記事がたくさん見つかります。でも、紙かデジタルか、なんて迷うことはありません。大切なのは、カルテに何が書いてあって、それをどう使うか、ということです。
カルテ管理と言うと、どう番号をつけてどう並べて、どう検索して、なんてことを考えてしまいますが、ちゃんと記録してそれをあとで読む、というのが根本です。
リピーター率が低くて困っていたお店がありました。カルテは新しく来店したお客様のカルテを、最近来店用の棚に移していきますから、リピートせずにお店に来ない方のカルテが過去の棚に残っていくことになります。そのお店のオーナーはあるとき、過去の棚に残っているカルテを取り出して読み返しながら大きなダイニングテーブルの上で広げていきました。この人とこの人の様子は似ている。この人はちょっと珍しいケースだったな。あのときこの施術をお勧めしていれば…。と、次から次へとお客様の記憶がよみがえってきました。
あるお客様には「ご無沙汰レター」を出して、久々に来店いただくことができました。また、うまくリピーターになってもらえなかったお客様のカルテを読むうちに、「次からはこんなカウンセリングをしなきゃ」といった案が浮かんできました。そして、次にご来店された別のお客様のためにさっそく的確なカウンセリングを行うことができました。
カルテには、お客様の姿が写しとられています。困ったら、カルテを読み直せば、次に何をすれば良いか、見えてくるのです。
お客様レターを書くときには目を通す
一度来店があって、まだリピートいただいていないお客様。エステサロンを続けていたらそうしたお客様が積もってくるものです。そんなお客様にもう一度お越しいただくには、心を込めた手紙を書くのが基本です。
お客様レターはついつい、いつも来てくれているお客様にばかり出してしまいがち。クリスマスパーティのご案内など、仲の良いお客様に出すのが自然ですが、ご無沙汰のお客様へのお誘いレターを忘れてはいけません。
「心を込めた」と言っても、ただていねいな言葉で書きましょう、という意味ではありません。そのお客様の肌悩みを思い出し、どうしたらそれを解決できるか一生懸命考えることです。そのためにも、カルテを読み直すことが大切です。
新規メニューのアイデアもカルテから!
カルテを読み返すときには2つの読み方があります。
1人のお客様を思って深く読み返す
一気にたくさん読み返す
上で見たように、お客様レターを書くときなら、ぜひそのお客様のことをしっかり思って、1枚のカルテを深く読み込んでください。
一方、カルテを一気に見るという読み方も大切です。「これとこれは同じようなお悩み」「これはちょっと違う」といった形で、分けてみましょう。別にきれいに分類する必要はなく、読んでは分ける、を繰り返していきましょう。そうすると、自然に分類されていきます。
このようなカルテの見直しが、答えを浮かび上がらせてくれるのです。「あれ、うちのお店ってこんなお悩みの方が多いんだな」と改めて認識できるでしょう。「カウンセリングのときにこの人が言った言葉をメモしたのを読み返したら、こんな施術が求められていたことにやっと気が付いた」なんてことだってあるのです。
カルテは宝の山。そこには、新しいオプションメニューや、化粧品のお勧めなど、さまざまなアイデアの素がたくさん埋もれているのです。
物販の基本も、どなたに何をお勧めするか
お客様のことを思う。これは、サロンのように「お悩み解決型」の仕事をしている人には一番大切な心掛けですね。銀行の営業さんでも、優秀な人は「全部のお客様の顔がすぐに頭に浮かぶ」そうです。そうしてお客様を思い出せるから、そのお悩みにも答えを見つけていくことができるのでしょう。
このお客様の肌質ならどんな化粧品がお勧めか、といったことを考えるにもカルテの情報を読み返すことが役に立ちます。また、ホームケアがあまり適切にできていないお客様なら、お家でどうお手入れすれば良いか、アドバイスしなければ! と思い出すことができるでしょう。
カルテを読み返してお勧めの方法をしっかり考えておけば、いざ来店されたときに順序良くお伝えして良くご理解いただくことができるでしょう。カルテを読むことは、意外にも物販の売れ行きを伸ばすことにも役立つのです。また、ホームケアのための化粧品を購入したお客様が正しく使ってくれるので、より大きな肌結果が生まれ、「もう他のお店には行けません」なんて言っていただける。サロンを経営して一番うれしい瞬間かもしれませんね。
カルテにはこのようにさまざまな読み方と活用の仕方があります。まずはしっかり記録して読み返し、効果を高めていきましょう。
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