エステサロンのための経営講座
「手技」メニューと「物販」の
理想のバランスとは?
エステティシャンは自分の技術に自信をもち、指名されるお客様も増えた、という中で独立を考えるもの。そのため、売上や利益についても「手技」が大半で、「物販」は「少し上乗せできればいいか」と考えているかたが多いように感じられます。でも、実際にはそうではありません。成果をあげているサロン経営の実例などから、「手技」と「物販」の比率について考えていきましょう。 > お気に入りに登録する
施術と物販の利益割合を計算するには
ベッド2台、スタッフ1名(オーナーを入れてエステティシャン2名)のサロンの例で考えていきましょう。
1日4人 × 営業日数20日 × ベッド2台 = 月顧客数160人
単価7,000円 × 160人 = 施術売上1,120,000円
施術売上1,120,000円 - 経費850,000円 = 施術利益270,000円
利益率(850,000÷1,120,000×100) = 24.1%
となります。(経費の計算については「サロン経営 気になるお金、年収のこと」のページでご確認ください)
それに上乗せする物販利益はどれぐらいの目安となるでしょうか。
フェースの会員制通販サイトFMC(フェースメンバーズクラブ)の会員データによれば、美に関心の高い女性は月に10,000円~20,000円程度は化粧品を買っています。他で買っている化粧品をサロンで買うように変わるだけだとすれば、サロンで購入する化粧品の金額もそれぐらいと考えることができます。
実際、フェースが運営している会員制のサロン専用化粧品購入サイト「フェースメンバーズクラブ」で商品を購入する一般のお客様の多くが、1~1.5か月に1回、10,000円~15,000円の化粧品を購入しています。
仮に月に10,000円の化粧品を販売すれば4,500円の利益が出ると考えてみましょう。利益率は45%となります。(これは仮定の値で、フェースの実際の取引条件を表すものではありません。実際の条件についてはお問い合わせください。)
お客様の半分が月に10,000円の化粧品を購入いただけるとすると、
購入者数80人 × 単価10,000円 = 物販売上800,000円
物販売上800,000円 × 利益率45% = 物販利益360,000円
となります。比率を見ると、
施術売上1,120,000円:物販売上800,000円 = 58%:42%
施術利益270,000円:物販利益360,000円 = 43%:57%
です。これだけでも物販利益はサロンの利益全体の半分以上になることが分かります。
ほんとうにお客様はそんなにたくさん
化粧品を購入するの?
多くのかたが思うのは、「本当にお客様の半分が購入するの?」ということかもしれません。
この疑問は、物販について「施術と関係のない『ついでの購入』」という考えから生まれています。これだと、「物販の売上や利益は施術に比べたら小さくて、面倒な割には儲けにならない」といったイメージになるのは当然です。「商品を勧めたらお客様が嫌がって来なくなるのでは?」という心配をされる向きもあるようです。
でも、本当は化粧品販売とは「お客様が適切なホームケアを行えるかどうか」ということ。せっかくサロンできれいになったお客様が、ホームケアをちゃんとしなかったためにサロンに行く前と変わらない状態に戻ってしまったら、お客様はどう思うでしょう? 「サロンに行ったけど、結局あんまり変わらなかったなあ」と思い、サロンから足が遠のいてしまうのです。それどころか、肌に合わない化粧品を使ってかえって荒れてしまったりすれば目もあてられません。
プロのエステティシャンがお客様の肌を見極めて、正しいホームケアやぴったりの化粧品を指導するカウンセリングは「お客様が美しくなる」という目的にとって不可欠なことなのです。
サロンでの施術と家で使う化粧品は「美の両輪」。「サロンでしか買えない化粧品」があるのはそれが理由です。施術と無関係の「ついで買い」ではありません。
お客様がサロンに訪れるのは期待があるから。その期待に応えることでお客様はサロンやエステティシャンを信頼しリピーターになります。サロンでカウンセリングを行い、化粧品をお勧めするのはその信頼の上になりたつこと。サロンがちゃんとお客様と向き合って最適なものをお勧めすれば、「買ってみよう」と思うお客様は半分どころではありません。
フェースの取引先サロンでは、お客様の90%以上が化粧品の購入者、というお店は少なくありません。
もし90%のお客様が購入すれば
購入者数144人 × 単価10,000円 = 物販売上1,440,000円
物販売上1,440,000円 × 利益率45% = 物販利益648,000円
となります。施術売上との比率に直すと
施術売上1,120,000円:物販売上1,440,000円 = 44%:56%
施術利益270,000円:物販利益648,000円 = 29%:71%
と、物販が7割の利益を支えていることになります。合計で利益は90万円以上。これならオーナーが十分な収入を得ても、スタッフの給料を上げたり、休暇をあたえたり、研修にも費用をかけることができるのではありませんか?
理想的な施術と物販のバランスを考えるなら、まずは物販売上が全体の40%~50%になることをイメージして、お客様へのカウンセリングに力を入れましょう。
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